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南紀熊野の方言 |
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■伊勢文化と難波文化の影響
南紀熊野地方でも、那智勝浦町付近から太地町、新宮市、熊野川町、本宮町あたりの言葉使いやアクセントは、古座町や古座川町、 串本町、すさみ町、日置川町、白浜町、田辺市、上富田町、大塔村、中辺路町近辺の言葉、アクセントとは明らかに違いがあります。
那智勝浦町から東の地域の言葉は、どちらかと言えば中京方面の言葉やアクセントに非常に近く、反対に古座町付近から西の地域の言葉は、関西方面の言葉やアクセントにきわめて近いことが分かります。
これは、昔から東の地域は、伊勢方面との交流が多く影響を強く受けたのが大きな理由で、逆に西の地域は難波との交流が多くそのせいだったのでしょう。
近年になってから、若者の就職先を考えてみると、東の地域は名古屋圏へ、西の地域は大阪圏への就職が圧倒的に多く、その影響もないとは言い切れません。 |
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■黒潮文化圏
もう一つ忘れてならないのが黒潮文化の影響で、串本町や古座町、那智勝浦町、太地町周辺には、県内の他にはない言葉で、高知や鹿児島、遠く沖縄などの言葉に非常に近いものが存在します。
例えば、「まちうる。」などは土佐弁にもあり、意味は同じです。言葉の意味が同じかは不明ですが、串本付近で昔し使っていた「しょらさん」と沖縄で使う「ちゅらさん」は非常に近い発音をします。また、土佐弁の「じょがいさん」とは同じ意味を持ちます。
これは、太古の時代から、黒潮と共にカツオを追っかけていた「黒潮文化圏」の共通のものと思われます。また、紀伊半島南部の海沿いの町には、「魚」の事を「いお」と言う所がありますが、「いお」は、「うお」の原語と言われており、遙か南のある島では「魚」の事を「イオ」と発音するそうで、現在の紀伊半島南部には、その昔小さな丸木船に乗り渡ってきた民族がいた証ではないでしょうか。 |
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■正確な意味や発音を解説できるかどうか分かりませんが、南紀熊野地方の方言を紹介したいと思います。ただし説明や意味が間違っている事も考えられます。ある学者さんが、ラジオ番組で「紀州言葉は、端的に省略した言葉使いが多く、未来型あるいは進歩的な言葉である。」と言われていました。皆さんはどう取られますか? |
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話し言葉 |
意味 |
話し言葉 |
意味 |
あーしぃ |
あのようにしなさい |
なおす |
片付ける 復帰する |
あいた |
飽きた |
ながし |
台所 |
あが |
わが 自分自身 |
なかま |
共有 |
あがえぇ |
わが家 |
ながれこ |
トコブシ |
あがと |
わがと 自分で |
なにゆわんな |
何を言っているんだ |
あがら |
自分達 |
なり |
服装 身形 |
あかってきた |
天気が良くなってきた |
なろた |
習った |
あくかーよ |
あくものか 駄目だ |
にえたぁる |
強い日差しなどで、干物などが変質した状態 |
あげあげすんな |
ぼんやりすんな |
にえる(ぐるむ) |
打ち身で内出血している様 |
あこむ |
あかむ 熟する |
にこい |
やわらか からの変化 |
あこーなる |
赤くなる 熟れる 赤面する |
ぬくい(とい) |
暖かい |
あさとおから |
朝早くから |
ねや |
寝室 若い衆が集まる小屋 |
あばける |
化膿する |
ねやんし(せ) |
寝なさい |
いい、いたら |
言っていると |
ねらん |
寝ない |
いがむ |
ゆがむ 機嫌を損ねる |
ねんと |
寝ないで |
いこら |
行こうよ 行こうか |
はー |
歯 葉 刃 |
いっかど |
沢山 やや多め |
はがい |
はがゆい くやしい |
いつど |
いつの いつかの |
はくら |
日射病 |
いぃ |
胃 良い いいえ |
はしかい |
敏捷 |
いらかす |
失う |
はしかい |
ちくちくと痛かゆい |
うたとい |
うっとうしい |
ばたくる |
もがく ばたばたする |
えー |
家 良いの転句 絵 柄 |
ばつ |
叩く |
えどる |
なぞる などる |
はつる |
削る 共通 減らす |
かい |
かゆい |
はばる |
はまる 水に落ちる |
がいたくらい(くい) |
荒々しい 乱暴な |
ばんばら |
何もない広場 |
かいだるい |
だるい 疲れる やる気がない 馬鹿らしい |
ひー |
日 火 灯 |
がい(え)な(に) |
沢山 |
ひきさがす |
めちゃくちゃにする 散らかす |
がいに |
強く 乱暴に |
ひこずる |
ひきずる |
がさる |
騒ぐ ふざける がさがさする |
ひしる |
叫ぶ わめく |
かしき |
賄い係 |
ひとなえ |
他人の家 私の家 |
がっぱな |
穴 洞穴 |
ひやくい(こい) |
冷たい |
きぃー |
木 気分 心持ち 黄 |
ふー |
風采 格好 服装 |
きしな |
来る途中 きがけ |
ふぁわりー |
格好が悪い |
きしゅむ |
沁みる |
ふたる |
あふれる 沸き立つ |
きみゃわり=こころわり |
気味が悪い |
ふつ |
かさぶた |
くぅー |
区 九 苦 食う |
ほぉ |
穂 帆 |
くど |
かまど |
ぼし |
人の卑語 (やんちゃボシ等) |
けさり(りゃ) |
今朝 |
ほぜる |
稲光 |
けぶたい |
煙たい 苦手 |
ほたえる |
騒ぐ たわむれる |
けもよぉ ・ けんど |
けれども |
ほったる |
棄ててしまう |
こぉ |
子 粉 |
ほにほに |
本当に |
こがえなもん |
こんなんもの つまらないもの |
ほらくる |
ほおっておく ほったらかす |
こすい |
狡い 悪賢い |
ほれみやんし |
それみたことか それみなさい |
こぜる(まわす) |
理屈をこねて反対する |
ほんじゃ |
それでは これで |
こぶつ(こぼつ) |
壊す |
まぁ |
間 暇 |
こなえだ |
この間 |
まぁちぃと |
もう少し |
ごんごー |
五合 |
まぁや |
まぁーの感嘆詞 |
ごんばち |
イタドリ |
まいきって(いく) |
一時的に状態変化が起こる 疾走していく |
さぁーぎ |
騒ぎ |
まいこます |
紛失する 見失う |
…さがす |
散らかす 無責任な行動をする様 |
まいする(らえ) |
やめる |
さどい |
するどい |
またんし |
待ちなさい |
しぃもて |
しながら |
まひげ |
まゆげ |
ししくる |
泣き叫ぶ |
まやかす |
失う |
しびくた |
四分北(北北西の風)天気がはっきりしない |
まるかる(ける) |
一緒になる |
しもた |
壊した いためた |
みぃ |
身 実 見 |
しもたーる |
保管してある 片付けてある |
みえやん |
見えない |
しゅむ |
しむ しみる |
みしる |
むしる |
しわい |
しつこい 粘り強い |
むさんこ むさらんこ |
大変沢山 |
すい |
すっぱい |
めぇ |
目 芽 あらめ かじめ |
すくもる(ばる) |
しゃがむ かかむ 巣籠もる |
…もて |
…しながら |
すぐる |
間引きする |
もろぶた |
諸々の食品を入れる長方形の器 |
すこける |
弛んでずり落ちる |
やいき |
一気に 勢い |
ずつない |
苦しい |
やいと |
灸 |
せいでや |
するのは当然である |
やいや |
否定 いいえ |
せせこましい |
こまかくうるさい |
やったる |
やっつけてしまう 人の為に物事をしてやる |
せせる |
いじる ほじくる |
やにこい(くい、くさい) |
大変 |
そぉしやんし |
そうしなさい |
やばる |
草木が茂る 広がる様 |
そんなり |
突然 そのまま それっきり |
やらかい |
柔らかい 軟らかい |
だ(ら)すい |
粗雑 ぞんざい おちる |
やらん |
物をあげない |
たつ |
閉める |
…やん |
動詞+やん 否定の意味 |
たった |
満足した 満ちた 飽きてきた ただの音便 |
ゆぅ |
ゆず 湯 言う |
たとむ |
たたむ |
ゆうたった |
言ってやった |
ちぃと |
すこし |
ゆぅたら |
言うならば 言ったら |
ちってく |
疾走していく |
よぉ |
良く |
ちゃっと |
つい いささか うっかり |
よぉー |
たびたび |
ちょーける |
ふざける おどける |
よぉけ |
沢山 |
つらくる |
吊り下げる |
よぉする |
出来る |
つれもていこら(い) |
連れ立って行きましょう |
よぉない |
良くない 遠慮する |
てき(ゃ) |
相方 |
よじめる よちめる |
片付ける 取り入れる |
てす |
額 |
よばれる |
ご馳走に招かれる |
てったいどー |
手伝い人 |
…れん |
禁止 …してはいけない 否定 …出来ない |
どーど |
どうにか |
わぁ |
輪 |
どがえな |
どのような |
わがと |
自分で |
とっと |
まったく まるで 皆目 |
…ん |
接続的用法 …のは(行くンいやや) 疑問的用法(行くン?するン?) |
とも |
踵 |
…んか(け、き) |
勧誘用法 (行かンカ、しやンカ) 疑問用法 (行かンカ?、しやンカ?) |
どもなん(らん) |
どうにもならない やんちゃ |
んだら |
私達 |
なぁ |
名前 |
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